松下建築構造事務所

matsushita
 

1996.10撮影

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建築相談
   対談 代表取締役  松下  弘   
     聞き手     秋野 太作(俳優) LIFE WORD 11月号 (1996.10)より
 『建物を強くする見えない技術』

秋野
 まず、社長が今まで歩まれた道のりを聞かせて下さい。
松下 高校の時にこの仕事に就きたいと思い、高校卒業後、大阪の大学で建築を専攻しました。そして大学卒業後すぐ松山に帰り、地元の会社で10年間働きました。その後独立して10年になりますから、仕事を始めて丁度20年ですね。
秋野 素人質問ですが、建築構造とはどのようなお仕事ですか。
松下 構造は他のデザインなどと違い、外から見えない裏方の仕事です。しかし、先の阪神大震災の時に被災した住宅に欠陥が見つかるなど、建築構造が問題にされたこともありますね。ですから、有名建築家には、必ず構造の専門家がついています。
秋野 社長も現場にでられるのですか。
松下 出ますよ。しかし、中心になって行うのは設計事務所ですから、その事務所との信頼関係が重要になってきますね。
秋野 社長がこのお仕事に就かれた当初から今までに、かなり変化はありましたか。
松下 ええ、大きな地震が起きる度に、建築基準法が変わり、構造もそれにつれて変化します。ただ、法規は『詳細な部分については実験等により確かめねば良い』と表記されていますから、その点が我々には一番難しいですね。
秋野 どんな建物の仕事が多いのですか。
松下 基本的に、3階以上を建てる際には構造計算が必要です。ですから木造やツーバイフォーでも、3階以上なら構造計算をしないとなりません。私は仕事の大小に関わらず、一件数万円から一千万近くの仕事まで幅広く請けますが、年間トータルした利益は、毎年そんなに変わりませんね。
秋野 普通構造は設計事務所が行うところが多いですよね。
松下
 いいえ、違います。設計事務所では、自社でできない設備・構造設計を外注に出すんです。分業化が進み、小さな事務所が増え、構造は外注に出す方が安くなり、余程大きな事務所でないと自社では行いません。全て行っているのは日本全国で50社ほどですよ。愛媛でも少人数の事務所が多く、10人以上は数えるほどです。
秋野 多くの業界で機械化が進んでいますが、こちらではいかがですか。
松下 他社がまだ機械化が進めていない平成元年頃から、CADなどのコンピューターを導入しました。パソコン通信で図面を送信でき、便利になりましたが、当時は手探り状態なので東京へ行って技術を磨いたんです。でも、自分が磨く事が肝心だと思いましたね。コンピューターも『習うより慣れろ』ですよ。
秋野 構造計算は、最初の設計の図面が出来上がる前に行われるのですか。
松下 いいえ、設計事務所から来る図面を元に、柱の位置などに構造的なアドバイスをして仕上げます。そのため、最初から外郭は出来ているのですが、構造的に無理なデザインを考える方もいますからね(笑)。
秋野 
今の建築関連業で、社長のような建築構造士の方は多いですか。
松下 いいえ少ないですよ。ただし、1級建築士は試験で施工・構造・法規・計画の4教科に合格しないと通りませんから、バランスが悪い程度のことは分かるでしょう。やはり専門分野でないと、細かい箇所まで判断できませんね。
秋野 強い構造の建物にするには、どの部分を重要視すればよいのですか。
松下 一番大切なのは接合部です。柱の部材の大きさは、強度にあまり関係ありません。これは鉄骨の建物でも同じですよ。
秋野 家を設計するときに、どのようにすれば一番良い設計をしてもらえるのか。
松下 一番良いのは設計士に頼むことですね。設計・施工を一括にしている業者に頼むと、外部のチェックを行わないので、多少不安が残ります。それに、施主自身も見る目を養った方が良いでしょう。
秋野 
今後の展望を聞かせて下さい。
松下 愛媛は構造事務所も構造士も少ない上、育成機関がないので、後何年かで技術者いなくなる可能性もあります。そのために、若手を育成しょうと考えています。構造計算は、コンピューターで計算はできますが、最後の判断は人間の技術判断になりますからね。
秋野 これからも頑張って下さい。

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